黒沢健一 ソロとして5年ぶりの新曲 ついにiTunes storeで配信決定!

そして同年、アルバム「B」発売後から、断続的に活動を続けてきた黒沢と萩原健太のアコースティックユニット「健'z」のアルバムもリリース。このユニットは当初NHKテレビで音楽評論家である萩原健太の出演した「ビーチ・ボーイズ特集」の音楽番組にゲストで呼ばれた黒沢が、楽屋でビーチ・ボーイズの複雑なアレンジメントをギター一本で再現する萩原のセンスに「目から鱗」状態となり、その後、同番組で萩原のギターに合わせてビーチ・ボーイズナンバーを歌ったことから、度々FM番組のビーチ・ボーイズ特番や、テレビ番組へのライブ出演の要請が舞い込む様になる。

当初は、テレビやラジオ出演時の企画に合わせて臨時で数曲演奏するだけの活動形態だったがそのうち萩原が定期的に出演している新宿の「ロフトプラスワン」で行われているトークと音楽中心のイベント「The Country-Rockin’ Trust」(通称CRT)への定期的な出演もするようになり、この形態での音楽表現に意欲を燃やした黒沢は事務所の会議室を改造したスタジオに本人の言葉を引用すれば萩原を「軟禁」し、殆ど一発録りの約3日間の作業でアルバムを完成させる。

「健'z」というある意味コミカルなユニット名や、世間一般にはあまりなじみのない洋楽カヴァーをライブのレパートリーの中心とした趣味性の高いユニットのため、時には「お遊び」と受けとられた部分もあったが、このアルバムで聴かれるビーチ・ボーイズやポール・マッカートニーのオリジナルにおける複雑なアンサンブルをギター一本で楽曲の持つ本質的な部分を豊かに表現した萩原のギタリストとしてのセンスと、それに沿うようにあくまでボーカルをサウンドの一部として存在することに重きを置いたこの絶妙なコンビネーションは、ありがちなアコースティックカヴァーとは一線を画すものとして評価されるべき作品である。

その後、萩原がこのユニットに黒沢以外の声もサウンドに加わる事によって演奏する楽曲の表現の幅を拡げる事を提案、元ザ・グッバイの曽我泰久、そしてソニージャズより個性的なシンガーソングライターとして活動している高田みち子を加え、健'z with Friendsとして翌2004年アルバムをリリース、9月には東京キネマ倶楽部でのライブを成功させている。

curve509、健'zとしての活動も続けながら、黒沢はもうひとつのユニットに意欲的に参加する。

日本・海外の音楽シーンをボーダーレスなジャンルで飛び周り独特な地位を築いている、プロデューサーでありマルチプレイヤーでもあるホッピー神山と、黒沢のキャリアにおいて欠かす事の出来ない四人囃子のドラマー岡井大二、そして黒沢という超個性派3人が集結したユニット、SCIENCE MINISTRY(サイエンスミニストリー)である。このユニットでの結成の経緯等は彼等のアルバムを発売した、エンジニアの寺田康彦主宰のレーベル、シンク・シンク・インテグラルのページに詳細が記されているのでそちらを参照していただきたい。

このアルバムは発売後に、イギリスの音楽雑誌にレビューされるなどその特異な音楽性に関心が集まる。



:: INDEX
このページの先頭へ